室岡 陽子, 武田 利明
岩手看護学会誌 4(1) 3-8 2010年6月 査読有り筆頭著者
本研究は,心臓血管外科手術患者の褥瘡発生要因を明らかにすることを目的とした.心臓血管外科手術患者25名を対象に,手術室入室後の患者の体圧,手術中の体位ローテ-ション角度および回数と時間,褥瘡発生状況についてデータ収集をした.また手術室入室から手術終了後,集中治療室入室までの患者情報を診療録より収集した.その結果,ノルアドレナリンの使用およびその使用量において有意差が認められた.また手術直後に褥瘡発生を認めた患者は5名であった.その詳細を比較検討した結果,術前の心機能や既往歴,血液データ,術式による差は認められなかったが,褥瘡発生群においては手術中の体位ローテーション回数が多い結果を得た.特に治癒期間が一番長かった患者においては,傾斜時間は長く,ローテーション回数は一番多かった.また発生患者は肥満型の患者であり,厚みの薄い体圧分散寝具では十分な体圧分散が行えていない状況が示唆された.今回の検討により心臓血管外科手術患者の褥瘡発生要因は,ノルアドレナリン使用の有無,およびその使用量であることが明らかとなった.また心臓血管外科手術患者の体型と体圧分散寝具の厚みおよび手術中の体位ローテーションは,褥瘡発生に関与していることが示唆された.(著者抄録)