北川 裕子, 小野 學, 石田 宏代
コミュニケーション障害学 23(1) 1-8 2006年 査読有り筆頭著者
障害児教育を充実させるために,言語聴覚士(以下,ST)が週1回公立小学校特殊学級に出向き,以下のことを行った.(1)発達障害児の言語発達評価を行い,IEP(個別指導計画)を見直す,(2)STが行う個別指導を教員に見学してもらい,逆に教員が行う個別指導をSTが見学して指導法の改善点について協議する,(3)朝の会や給食などの時間は,言語指示などに留意しながら子どもに接し,行動観察を行って言語環境の改善をはかる,(4)授業参観や家庭訪問などの学校行事を通して家族支援を行う.今回,そこで支援した自閉症児2名の支援経過および結果から,(1)医療側のSTは日常生活場面における評価が不十分であり,教育側の教員は言語評価が不十分であった,(2)今回行った教員とSTの連携方法は,お互いの弱点を最小限に抑えるのに有効であったことが示唆された.従って,このような障害児教育に対するSTの参画が就学後の発達障害児にとって重要であると考えた.