研究代表者, 川上正浩, 共同研究者, 坂田浩之, 佐久田祐子, 奥田 亮
日本教育心理学会第52回総会 2010年8月
本研究では,心理学部に所属する1回生に対してその帰属感を高揚させ,ひいては大学生活の充実感を高めるプログラムを探索的に開発し,その効果を検証することを目的とした。帰属感高揚プログラムを実施する際に,2種類のVTR刺激を異なる群に用いて,プログラム前後に学生生活充実度と帰属感を測定し,これらのVTR刺激の効果を比較した。その結果,上回生の学生生活に関するコメントを含んだ方のVTR刺激を呈示したプログラムは,大学へのフィット感を高める効果を持つことが示された。一方で,いずれのプログラムも大学生活に対する不安を高めるものであることも示された。これは,“立派な先輩”の姿を意識することにより,むしろ自信を喪失することによるものではないかと解釈された。それゆえその点に配慮し,また帰属感との関連をあらためて検討したプログラムの開発が今後求められると考察された。