高橋 裕子

平成23年6月掲載予定 日本集団精神療法学会誌の身体疾患におけるグループの特集号に掲載。公立総合病院緩和ケアチームにおける臨床心理士の役割、また臨床心理士が運営するアートセラピー、認知行動療法を用いたグループサポートなど多種類のグループサポートを行っている現状を報告し、それぞれについて意義と役割を考察した。担当部分：共同研究につき抽出不可能

平成23年6月掲載予定 日本集団精神療法学会誌の身体疾患におけるグループの特集号に掲載。日本においては精神科治療領域で主として発展してきた集団精神療法であるが、近年医療現場においても様々な治療においてグループが活用されている。生活習慣病の中でも罹患率が高く、治療継続に小案何をきたすことも頻繁な糖尿病に関して入院・外来治療において3種類のグループを活用している実践例を提示し、それぞれのグループの特徴、今後の課題について考察した。

第49回学会の看護・看護教育分科会において発表を尾行い。分科会推薦優秀演題として掲載。公立総合病院の現状と実態を踏まえ、初年次看護教育においてセイフティネットの役割を果たすサポートシステムを構築し、新卒者の離職率が0％となった経過を報告し、サポートシステムの構築の経緯とその実践内容について検討した。<br /> 担当部分：主としてシステムの分類・考察部分

看護基礎教育と臨床現場とのギャップによる新規採用看護師の早期離職が近年問題となっており、その予防のためには多様なメンタルサポートが重要であるとの視点から、①知識教育、②実態調査、③グループの活用、④個別の取り組み、を年間を通じて行ったところ、新規採用既卒者には例年並みの離職（約27％）が認められたが、新卒者の離職者は0％であった。この取り組み内容をまとめ、考察した。 <br /> 担当部分：主としてシステムの分類・考察部分

集団・個人―いま、そこに流れるもの―をテーマとした日本集団精神療法学会第27回大会の事例検討部門において提出・検討を行った事例をまとめた。筆者が公立総合病院で携わる糖尿病教室におけるグループサポートのうち、外来患者を対象としたグループについて平成22年3月に開催された日本集団精神療法学会の事例検討において発表し、検討された内容をまとめた。グループ運営の経過に沿って慢性身体疾患を対象としたグループの特徴、メンバーやスタッフに関する考察、慢性身体疾患の治療におけるグループの位置づけ、今後の課題などについて述べた。

和歌山県公立那賀病院において緩和ケアに携わる本学修了生の吉村悠子臨床心理士が乳がんの女性患者に対して心理面接を継続的に行った事例である。面接継続中からスーパーヴィジョンを行い、面接によって主治医との関係改善や患者の生き方の変化がもたらされた経過を考察した。また、緩和ケアにおける臨床心理士の役割、今後の課題についても検討した。<br /> 担当部分：主として事例の心理面接に関する考察部分

本稿は，難病患者地域支援事業における訪問相談事業に臨床心理士として携わり，難病当事者やその家族への心理的援助を行ってきた臨床経験を元に難病の疾病受容について考察することを目的とした。難病の場合，病を受容する過程には病による障碍を受容していく過程が重複しているため，難病による障碍受容についても考察した。そして，疾病受容には受容が「できる-できな」いというあるべき姿を求めるのではなく，各個人の受容の様式があると捉えることが適切であると考えた。最後に疾病受容モデルを提示し，受容の様式を規定する要因について考察した

日本の口承による昔話179話の中から子どもの誕生する11話を抽出し、主人公の誕生から思春期・青年期までの発達および親子関係を中心とした対象関係について検討を行った。物語に描かれた内容を素材に、現代の人生前半の発達段階における臨床的問題との比較・検討を行った。

典型的な日本の昔話がまとめられた179話の資料の中から妊娠・出産およびそれに類する場面が描かれ、子どもを授かる物語10話のうち、夫婦の下に子どもが生まれる話8話を取り上げ、妊娠・出産をめぐる夫婦の心理的過程および親子関係について考察した。近年、大きな変化を遂げていると指摘される家族観葛藤内包性という概念を手がかりに、検討することを目的とした。

特定疾患に指定されている疾患のうち、筋萎縮性側索硬化症（ALS）の当事者および家族13件に対するのべ22回の面接の経験を通して、ALS治療における大きな分岐点となる診断確定・告知後と人工呼吸器装着の選択時の心理的援助について取り上げ、考察した。更に、臨床心理士として今後の課題となる点についてもまとめた。

難病対策事業の一環として地方自治体の実施している訪問による特定疾患地域援助のうち心理的援助「ハートの訪問」について、筋萎縮性側索硬化症の事例を中心に実践内容を報告し、地域における心理的援助の導入に関して面接構造、臨床心理士の役割などについて考察した。

アスペルガー障害は、1944年にアスペルガーが報告した現在は広汎性発達障害に分類される障害である。高い能力を有しながらも社会適応が困難である社会的相互作用の質的障害が特徴である。本稿では成人後にアスペルガー障害であると診断された女性のロールシャッハ反応に現れる特徴を形式構造分析の観点から検討し、援助の手がかりとした事例を報告した。

児童虐待を社会的な次元で3種類に区分した上で,それぞれの問題に対相当する症例を提示。臨床的な立場から介入方法を検討し,現状における問題点を分析した。また, 現在も件数増加の状況下,深刻化しつつある問題への援助者側へのサポート体制に関しても、早急な整備が必要であることを指摘した。

本論文において取り上げたターミナルケアは,ごく短期間に終結に至った点を除くと,その過程に示された心性,取り扱われた問題は中年期の心理療法との共通性が見出された。心理療法における｢終結｣をめぐるターミナルケアの特殊性と普遍性,また,そこに生じる治療者側の間主観的体験の特徴について検討した。

児童虐待防止法が施行されるに至り、児童虐待への関心は高まる一方であるが、それらを予防あるいは解決する有効な手段はいまだ確立していない。地域における児童虐待を予防する目的で行ったグループ支援および自験例をもとに児童虐待をいかに理解してどのような働きかけを行うか,また,予防段階での対策の重要性に関して考察した。

心身症が心理社会的な配慮を必要とする身体疾患であるということは、広く認知されてきている。特に子どもの心身症においては、心身相関についての理解のみならず、様々な環境要因にも注意を払う必要がある。腹痛を主訴とする女児の症例とその心理療法過程をもとに、治療対象は患児であっても、治療的な働きかけの対象を親としたことが治癒につながったことから、患児をとりまく環境への働きかけの重要性を検討した。

心的外傷後ストレス障害（PTSD）は近年注目を集める臨床概念のひとつとなっているが,日本における治療や研究の歴史は浅く、殊に子どものPTSDに関しては,心的外傷の内容や発達年齢を、発達課題との関係を視野に入れて考えねばならず、心的外傷の捉え方、治療上の留意点には検討すべき問題が数多く残されている。児童期の女児の症例をもとに、外傷体験の理解とその取り扱いについて考察した。

近年,精神科医療における治療は入院中心型から地域中心型へと移行している。疾患により影響を受けた社会生活技能（socialskill）を獲得あるいは再学習することにより,社会参加をする中での回復が重要視されるようになった。入院治療におけるＳＳＴの実践例を報告し,認知機能障害に対する効果とその可能性について検討を行った。

幼児教育科の学生を対象に，成人の思いやり行動について行った調査を「思いやりがある」と感じる行動と「思いやりがない」と感じる行動とに着目してその詳細に関する分析を行った。また，現在の自分自身に対する思いやり行動実践への満足度や，他者及び社会に対する期待内容についても整理を行った。その結果，満足度はいずれもどちらともいえないがやや不満足，他者に期待する思いやり行動は非常に個別的であることがわかった。 <br /> 担当部分：調査項目の検討および調査結果の整理と分析を担当 <br /> 先行研究における思いやり行動についてさらに調査を行うため,記述者自身の思いやりに対する認識と実際をより明確にすることの重要性を感じ,筆者の提案により ,今回は記述者自身に関する調査項目を増やし,認識のみならず行動面での調査も追加した。調査結果は認識･行動とも個人差の大きいことが明らかとなり,思いやり行動への認識の多様性が示唆された。

心理療法における「転移」の発見は，フロイトの精神分析療法に遡る。心理臨床の治療関係においては，転移が治療の展開を左右することが知られているが，その概念の定義や取り扱いについては変遷が見られ，明確に捉えがたい面がある。筆者が経験した重篤な境界型人格障害の女性患者の症例をもとに，心理療法の過程における病状と転移の変化について，身体症状の移り変わりを指標として考察を行った。

思いやり行動は，長年人間に特有の行動であると考えられてきた。人間の行動形成に重要な影響を与える可能性のある保育者を目指す学生は，この思いやり行動をどのように認識しているのかを明らかにすることを目的として，幼児教育科の学生を対象に調査を行った。その結果，自由記述によると，日常場面において既存の分類にはない「挨拶」に相当するような簡単な言葉かけなども思いやり行動として認識されている事がわかった。<br /> 担当部分：調査項目の検討および調査結果の整理と分析を担当<br /> 思いやり行動が学習された行動である側面を持つならば,乳幼児の日常生活における学習のモデルとなる可能性が高い幼児教育科の学生の思いやり行動への認識が重要な役割を果たしているのではないかとの仮説に基づき,筆者が記述式のアンケートを作成し, 共同研究者と検討を行い,完成した。結果を分類する項目を立てる作業においても,原案を作成し,統計的な処理が可能な整理を行った