Shiho Hiraku

<p> 大学教育において導入され始めているルーブリックであるが、大学体育において導入した際の効果についての研究は非常に少ない。そこで本研究では大学体育における教育効果として期待されるコミュニケーションスキルの向上に焦点を当て、同スキルをより高め、その成果を教員および学生がより客観的に把握することを目的とした、8項目の評価観点、4つの評価尺度からなるルーブリックを作成した。評価観点および各評価尺度の評価基準は、大学体育教育を担当している教員による議論を経て決定した。2大学の体育授業においてルーブリックを実施し、その効果はコミュニケーションスキル尺度（ENDCOREs）を用いて検討した。</p><p> その結果、自己統制、表現力、解読力、自己主張、他者受容、関係調整のいずれのコミュニケーションスキルにおいても、ルーブリックを用いた授業の方がより高まる可能性が示唆された。今後より効果的なルーブリックについて検討していくことが重要であると考える。</p>

<p> 大学の教養体育授業では、その教育効果が卒業後も長く続くことが望ましく、長期的視点からみた教育効果の多角的な検討が必要と思われる。そこで本研究では女性における大学の教養体育について、男女共修、別修という授業形態が及ぼす影響について検討する。2015年8月にインターネットで大学卒業生に教養体育の授業の感想や思い出を自由記述で回答させる調査を行った。本調査では女性対象者について共学の大学（共修）128名、女子大学（別修）33名の有効回答があり、これらの自由記述回答のテキストマイニングを実施した。その結果、「印象に残っていること」では、男女共修において「友達」、別修では、「先生」という語が比較的多い割合で抽出された。また、「楽しかったこと」では、共修が「男女混合」、「学科が違う学生とのコミュニケーション」というキーワードが見られたが、別修は、「授業で取り扱った種目名」が多く抽出された。さらに、「役に立っていること」では、共修は、「運動のスキルやルール、人間関係、運動の楽しみ方」の共起ネットワークが観察されたが、別修は、「脂肪、ダイエット、健康」の記述が見られた。</p>