木原 民雄, 加藤 由花
情報処理学会論文誌 62(2) 412-422 2021年2月15日 査読有り
情報処理学会マルチメディア通信と分散処理研究会の関連研究領域において,研究者はどのような研究論文を「良い」論文であると考えているのかについて,自己の論文と他者の論文に分けて第1次調査としてアンケート調査を行い,その結果を分析した.アンケートはシニア研究者を対象に実施し,通常の新規性や有用性等の論文査読基準だけでは測定できない研究論文の価値や,研究論文執筆において研究者が重要と考えている要素を抽出した.さらに,意識調査の活用を目的として,分析結果と考察を当該研究コミュニティのワークショップにおいて研究発表し,意見交換を行った.その後,第2次調査として,研究コミュニティの「良い」論文を送り出す役割についての意識調査を実施した.本研究によって,当該研究領域における「良い」論文価値の共有を図るきっかけが得られたことと,「良い」論文を送り出すためにこのような意識調査が活用でき,継続的に必要であると考えられることが確認できた.