前田正彦, 馬場隆行, 原田洋輔, 上羽正純, 相河聡, 岩井誠人, 笹岡秀一
電子情報通信学会技術研究報告 109(77(AP2009 37-43)) 37-42 2009年6月4日
本稿では,電波の可逆性を用いた秘密鍵の生成について,正規局間の鍵生成特性と安全性のモデリングを行った.現在までの実験によって正規局間の相互情報量はRSSIの分散幅によって決定されることから,今回RSSIプロファイルを対数正規分布によって定義し,正規局間の相互情報量を分散幅,SNRを用いて数式化した.また,数式に対してアンテナ特性及び一般の屋内伝搬環境で得られる分散幅の特性を加えることよって正規局間で得られる相互情報量を見積もるとともに,空間相関係数を用いて鍵の安全性の検証を行った.提案式の妥当性をシミュレーションによって検証するとともに,従来の実験系(AP:7素子エスパアアンテナ,UT:オムニ指向性アンテナ)において,屋内環境で1bitあたり0.9350bitの相互情報量が得られることを確認した.また,盗聴局が正規局から2波長以上離れていれば,安定して安全性の高い鍵生成ができることを確認した.