谷川 東子, 吉永 秀一郎, 橋本 洋平, 山口 紀子, 伊藤 嘉昭, 福島 整, 神田 一浩, 上村 雅治, 長谷川 孝行, 高橋 正通
日本森林学会大会発表データベース 125 385-385 2014年
発表者らは、日本に分布する MelanudandsやFulvudandsといった火山灰土にはイオウ(S)化合物が多量に蓄積され、その主要な形態はエステル硫酸態S(酸化型の有機S)であることを明らかにしてきた。しかし、火山灰土が火山灰の2次堆積や大陸からの風成塵が継続的に累積したことにより上方に向かって発達する累積性土壌である点については、考慮してこなかった。そこで土の累積性がエステル硫酸態Sの垂直分布に与える影響について検討するため、日光七本桜テフラ(Nt-S, 14,000-15,000年前形成)の上部に発達したmelanic epipedonに存在するエステル硫酸態Sを、S K-edge XANES spectroscopyと湿式分析を組み合わせることで定量した。また全Sの安定同位体比δ<sup>34</sup>Sの垂直変動も計測した。その結果、エステル硫酸Sの前身である還元型Sを多く含む層がエステル硫酸主体の層の間に縞模様に観察され、下層のδ<sup>34</sup>Sは表層より高いことが明らかになった。これらの結果から、上方への土壌母材の堆積とデトリタスや土壌有機物の分解作用が同時に起こることで縞模様は形成され、分解過程で生成したエステル硫酸態Sの一部は無機の硫酸イオンまでは分解されずに保存されていると推察された。