藤井 徹也, 篠崎 惠美子, 大林 実菜, 菊地 美帆, 中山 和弘, 工藤 美子
豊橋創造大学紀要 (25) 15-24 2021年3月
本研究は,性同一性障害(gender identity disorder,以下:GID)の高校生が,周囲の生徒や親へのカミングアウトおよび高校生活で困ったことについて明確にするため,5名のGID当事者に高校生活を想起してもらい,インタビュー調査を行った.その結果,高校時代にカミングアウトした者は2名であり,カミングアウト後に一部生徒より,否定的な態度を取られた経験があった.また,親へのカミングアウトは4名が母親に行い,すべての事例においてカミングアウトされた母親は驚きを示した後に受容した.これらのことから,高校生へ正しいGIDに関する知識を専門家と連携して教授すること,GID当事者の子どもを受容できない保護者には十分に寄り添うことが必要である.また,高校生活で困った点は,制服,更衣,修学旅行の入浴などがあった.これらは,日々の生活に密着する内容であり,高校全体における環境の整備が必要である.(著者抄録)