大日義晴
『家族社会学研究』 24(2) 189-199 2012年10月 査読有り
本稿の目的は,配偶者のサポートの代替可能性の検討を通して,個人と配偶者との関係が持つ独自性を明らかにすることである.<br>具体的には,個人のディストレスへの影響を通して,配偶者のサポートと非配偶者のサポートの有無の効果を検証した.分析には「第3回全国家族調査データ(NFRJ08)」を用い,有配偶者を分析対象とした.分析結果から,配偶者のサポートの効果は非配偶者のサポートの効果よりも大きいこと,また,配偶者のサポートが利用できる場合,非配偶者のサポートの有無はディストレスにほとんど影響しないことが示された.さらに,配偶者のサポートがない場合の非配偶者のサポートの効果については性差が見いだされた.女性においては,非配偶者のサポートが一部については代替していた.このことから,男女いずれにとっても配偶者の持つ意味は大きいが,男性にその傾向は顕著であり,女性は,男性ほどは配偶者への依存度が大きくないことが示唆された.