将来の科学衛星に向けた先進的熱制御システムの研究
科学衛星プロジェクトの経験を基に,現状の課題と将来計画を分析し,将来の科学衛星に必要な先進的熱制御システムの研究開発をおこなっています.研究成果はX線天文衛星ひとみに搭載された熱制御システムにフィードバックされている他,次期科学衛星計画への適用が検討されている等,科学衛星の可能性を広げ,世界一流の成果を創出する活動に貢献しています.
科学衛星プロジェクトの熱制御
日欧水星探査計画BepiColombo等のこれまで経験のない極限環境に晒される探査機や,X線大型望遠鏡衛星ひとみ等の熱流体デバイスを積極的に採用した挑戦的プロジェクトにおいては,従来の衛星開発手法やその延長線上では対応できず,これまで経験のない新しい衛星開発手法が求められます.極限環境に耐える新規材料開発や熱設計・解析手法の構築,試験設備整備や検証手法の開発など,新しい研究開発を熱流体力学の学術的知見をもって先導し,熱の観点でプロジェクトの成功に貢献しています.
熱流体力学の応用
熱流体とその周辺の学術的知見を基に,さまざまな宇宙科学プロジェクト活動に貢献しています.再使用ロケットの研究では,エンジン流れや極低温タンク,外部流等熱流体にかかわる課題解決に貢献しています.衛星推進系ではヒドラジンスラスタ内部化学反応流の研究によりスラスタ解析技術の向上に貢献し,ロケット推進系では固体ロケット内部流解析手法を開発し,M-VロケットやSRB-Aの不具合原因究明に貢献しました.その他,ロケットの飛行安全やロケット排気プルームの電波干渉問題等に関わり,ロケット研究に貢献しています.また高速電磁流体中の衝撃波干渉の理論研究や電磁流体を利用した推進システムの研究をおこないました.