太田 裕通, 神吉 紀世子
都市計画論文集 52(2) 145-154 2017年 査読有り筆頭著者
本稿では、居住者毎に抱く自地域への価値付けを「スケッチを用いた独自のダイアログ手法」によって、それを都市・地域らしさとして抽象的な見方(都市認識)として獲得し、実空間の都市探索を通して個別の現象を発見的に価値付けるグループワークの実施と評価を行った。結果、一般に大徳寺や船岡山等の観光地や歴史の舞台となってきた地域資源がイメージされがちな紫野地域において、空き地やお地蔵さん等一般的イメージと必ずしも直結はせず、かつ京都の市街地では珍しいことではないと見られがちな現象に対して、紫野らしさを具体的に価値付ける事例が確認された。「都市認識」を捉えることは、地域らしさを抽象的に捉え直すことで、一般的イメージからは直結しない都市空間の現象に対しても具体性を持って価値付ける事が出来る点において有用性があることが分かった。