研究者業績

義永 睦子

ヨシナガ ムツコ  (mutsuko YOSHINAGA)

基本情報

所属
武蔵野大学 教育学部 幼児教育学科 教授
学位
学士(お茶の水女子大学)
修士(お茶の水女子大学大学院)

J-GLOBAL ID
200901056353755858
researchmap会員ID
5000085702

論文

 15
  • 義永 睦子
    武蔵野教育學論集 (16) 95-104 2024年3月  筆頭著者
    本研究では、インクルーシブ保育における個の特性に応じた適切な配慮や活動参加の公平性への感覚を培う援助に焦点を当て、2園82エピソードデータのうち、好事例の7事例について①子どもの他者理解②子どもの多様性理解③保育者との関係性の中での他者理解・多様性理解のプロセスについて7事例の分析を行った。結果、①保育者をモデルとし社会的参照が行われ、安心感を基盤に身近な仲間による深い他者理解が子ども同士の仲立ちによりクラスの協同のあり方が試行錯誤の中で進む。②保育者が個別の発達課題を「子どもに育てたい力」という方向目標としてとらえることで、個別的配慮はどの子どもにも共通の目標の中での特別ではない適切な配慮として子どもに受け入れられる。また、このような経験を重ねる中で、子どもたち自身から、多様性を前提とした独創的なアイディアが生まれることが明らかとなった。
  • 義永 睦子, 長谷川 浩美
    武蔵野教育學論集 (12) 95-106 2022年3月10日  筆頭著者
    「サマランカ宣言」(ユネスコ,1994)で「インクルージョン、全ての子どもを包み込む学校、社会」が提言されて以来、多様な人々を含む共生社会の形成を目指したインクルーシプ教育が推進される系譜の中での日本の障害児保育および特別支援教育の発展プロセスについて述べた。また、障害児を含む仲間の多様性を含めて、クラスとして育っていくプロセスについて事例検討を行った。結果、多様性の気づきと受容に当たっては、子ども自身の中の多様性への気づきと受容を基に多様性の認め合いと協働へのプロセスが認められた。インクルーシブ保育の中での多様性の受容と協働を支える保育者の援助としては、集団内での子供たちの関係性に応じて、個々の安心感、自信を培うこと、子どもたちが日々の経験と思考を結び付け試行錯誤しながら問い続けるように、問いを問いでつなげることが重要であることが事例から示唆された。また、これらの援助を連動させ、個々の多様性、相互の多様性を前提とした活動のあり方を子供たちと保育者で問い続けることが、個の特性に応じた適切な配慮や活動参加の公平性への感覚を培う援助となること、これらの援助が継続されていくことで、インクルーシブ保育の中の集団と個の育ちあいを育てることに繋がる可能性が示唆された。
  • 小原敏郎, 義永睦子, 田中佑子
    関係学研究 45(1) 17-30 2020年3月31日  査読有り
    新卒保育者対象の質問紙調査で、保育者のリアリティ・ショックの社会的スキル、コーピングとの関連を検討した。結果、「子供理解と実践の難しさ」についてリアリティ・ショックを強く経験するものが最も多かった。離職希望者は、「労働条件の厳しさ」「職場の人間関係の難しさ」についてのリアリティ・ショックが強かった。社会的スキルは「コミュニケーション能力尺度」測定により、「解読・表出の困難さ」がすべてのリアリティ尺度因子と正の相関があった。保育者に求められる実践力の視点からは、子供たちとの自発的な遊びの関係状況に即応する力を心理劇等の行為法を用いた方法の導入など、コミュニケーション・スキルコーピング技術の向上を目指した教育プログラムの提案をする必要があることが考察された。
  • 生井亮司, 榎田二三子, 義永睦子
    武蔵野教育学論集 (7) 91-102 2019年10月  
  • 義永睦子, 小原敏郎, 瑞穂優
    関係学研究 42 45-55 2017年3月  査読有り筆頭著者
    保育・教職実践力を養成していく上でどのような資質・能力を保育士・幼稚園教諭の養成の課程で培っていくことが必要かを知るために、保育・幼児教育の卒業生を対象に、調査研究を行った。就職3カ月時点における保育者の心身の問題、離職希望、職場のサポートについて、検討した。対象は、保育・幼児教育を専攻した4年制大学および短期大学の卒業生である。調査の結果、就職3ヶ月目の新任保育者の1/4は既に離職を考えていたが、離職希望は職場の問題からきている。新任保育者へのサポートは、保育者集団の一員として位置づくという人間関係を通してのサポートが満足をもたらす。新任保育者が職場の人間関係の中で受け入れられ日々の保育実践への助言指導が得られることにより、不安が軽減し、就業の継続を希望し、保育実践力も向上していく可能性が示唆された。

MISC

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  • 義永睦子
    武蔵野大学幼児教育学科シンポジウム報告書 2020年2月  
  • 義永睦子
    武蔵野大学こども発達学科リカレント企画シンポジウム報告書 52-53 2019年3月  
  • 義永睦子
    関係学研究 43(1) 13-14 2018年3月31日  招待有り
  • 義永 睦子
    武蔵野大学教職研究センター紀要 (4) 1-12 2016年2月  
    子ども・子育てビジョン(2010)が策定され、子ども・子育て関連三法(2012)で幼児教育・保育の充実が進められ、中央教育審議会(2012)でも質の高い人材の養成が求められている。その一方で幼稚園教諭や保育士の早期離職の現状がある。保育職の質の高める前提となる保育職キャリアの継続を阻んでいる要因を検討する必要がある。本研究では、保育者養成課程の新卒保育者の卒後3ヶ月時の離職希望と職業性ストレス反応、在学中の教育的支援についての感想と要望について、本学児童教育学科新卒者を対象に実態調査を行い、離職希望と職業性ストレスとの関連と在学中の教育的支援の可能性について考察した。
  • 関係学研究 40 72-73 2014年12月  
    乳幼児健診における子育て相談事例に見る家族の問題と支援のあり方と現状、これからの課題について、述べた。保健センターで著者がかかわっている事業のうち、子どもの発達支援と、虐待予防を含めた親子支援の2つの親子グループにおける、様々な親子の事例を踏まえ、子ども及び保護者の相談支援、親子関係の調整と改善への援助、子ども理解を保護者とスタッフが共有すること、発達支援及び親子関係支援におけるグループワークの展開と今後の課題について述べた。

書籍等出版物

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  • 吉川, 晴美, 関口, はつ江, 義永, 睦子 (担当:共編者(共編著者), 範囲:はじめに、序章第3節「家庭,園,地域社会で育む子どもの人間関係と課題」;第1章第3節「乳幼児期の育ちと人格形成―保育場面から」;第3章第5節「個と集団のダイナミックな発展(5歳児を通して)」;お勧め図書)
    ミネルヴァ書房 2024年9月 (ISBN: 9784623097906)
    保育士課程科目、幼稚園教職課程科目の保育内容領域「人間関係」とその指導法のためのテキスト。子どもの人との豊かな関わりが人格形成にどう関わるか、その基礎を学ぶ。乳幼児期にとっての人間関係の重要性、本質を学ぶことができる。また、具体的な事例や演習問題、それぞれのテーマに関連するロール・プレイングを通して、人間関係や状況、子どもの活動(育ち)の方向等を体験的に理解する。保育者になる自分育てとともに、子どもも大人(保育者・保護者)も共に育ち・創る人間関係を修得し、柔軟に対応できるようにすることを目的として執筆した。序章第3節「家庭,園,地域社会で育む子どもの人間関係と課題」、理論編第1章第3節「乳幼児期の育ちと人格形成―保育場面から」、実践編第3章第5節「個と集団のダイナミックな発展(5歳児を通して)」を担当。
  • 小原, 敏郎, 橋本, 好市, 三浦, 主博 (担当:共著, 範囲:第6章第7節「その他、特別な配慮を要する子ども」;第7章第3節「子どもの同士のかかわりと育ち合い」)
    みらい 2024年3月 (ISBN: 9784860156190)
    「ソーシャル・インクルージョン」の視点から障害児保育が学べるテキスト。障害児保育の理念・定義から歴史、保育所等における実践などをわかりやすく解説した。 第6章障害児の発達支援~障害特性を踏まえて~第7節「その他、特別な配慮を要する子ども」では、共生社会の形成に向けて、障害以外にも様々な配慮を必要とする子どもに目を向ける必要があること、どのような子どもにも共通して必要な子どもの問題の理解のしかたとアセスメントの視点について解説した。 第7章障害児等の特別な配慮を要する子どもの保育の実際第3節「子どもの同士のかかわりと育ち合い」では、子どもたちにとっての「特別な配慮」と「特別扱い」との違い、子どもたちの他者理解と多様性の受容のプロセスと保育者の援助方法、子どもたちが育ちあう環境づくりについて述べた。
  • 鳥海 順子, 義永 睦子, 菅田公子, 叶雅之, 山﨑淳, 堀米孝尚, 野中繁, 氷室綾, 樋口昇, 川本静香, 松下浩之, 泉さわこ (担当:共編者(共編著者), 範囲:まえがき、第1章、文献案内)
    東洋館出版社 2021年5月25日
    社会情勢の急激な変化の中で子どもたちに関する課題は多様化,複雑化しており、それぞれの段階の教育の場が連携し長期的に見通しをもって,前の段階から次の段階へと円滑に移行できるようにする「連続性・一貫性」の視点が必要とされている。これらを念頭に、子どもの幼小中高の各時期の教育相談の進め方に加えて,移行期支援を重視して、保幼、小、中・高の各時期と接続期における教育相談、生徒指導論のテキストを作成した。生物心理社会モデルによる幼児児童生徒の多面的理解を軸とし、3つの資質・能力の柱を共有しながらカウンセリングマインドを保育・教育の実践,家庭・保護者との連携に生かし、組織内外での協力体制の活用が可能となることを目指した。
  • 浅野恵美子, 安藤嘉奈子, 石川淳子, 磯田雄二郎, 岩城衆子, 浮田徹嗣, 小笠原美江, 岡嶋一郎, 尾上明代, 川幡政道, 小林ひとみ, 櫻井靖史, 佐藤豊, 島谷まき子, 春原由紀, 髙原朗子, 谷井淳一, 藤堂宗継, 時田学, 中込ひろみ, 信田さよ子, 早川裕隆, 針塚進, 前田潤, 牧裕夫, 増野肇, 宮崎良洋, 武藤安子, 諸江健二, 矢吹芙美子, 横山太範, 義永睦子 (担当:共著, 範囲:第6章対人援助職者養成のための心理劇第2節保育者・教員養成の心理劇,pp.229-238)
    慶應義塾大学出版会 2020年10月30日 (ISBN: 9784766427035)  Refereed
    日本における心理劇研究、実践についての現時点での集大成であり初学者への入門書である。「心理劇」(ロールプレイング、サイコドラマ、ソシオドラマ等のアクションメソッドの総称)を活用し展開する各分野のうち、保育者・教員養成のカリキュラムの中での心理劇の活用について詳述した。①感じ方、振る舞い方が育つ心理劇、②保育・教育の技術を磨く心理劇、③理論と実践を結び付けて学びを深める「アクションガイド」理論的枠組み学習のための心理劇、④多面的な状況理解を基に組織的・協働的課題解決を目指す心理劇「可能性探索の心理劇」を紹介し、アクティブ・ラーニングPBLの要素も兼ね備えた心理劇の授業実践・展開の具体的方法と効果について述べた。
  • 榎沢, 良彦, 上垣内, 伸子, 浜口, 順子, 矢萩, 恭子, 山田, 陽子, 鈴木, 眞廣, 若松, 亜希子, 向山, 陽子, 義永, 睦子, 鈴木, 正敏, 福元, 真由美 (担当:共著, 範囲:第7章 現代社会の課題と保育者)
    同文書院 2020年4月1日 (ISBN: 9784810314960)

講演・口頭発表等

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Works(作品等)

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  • 小原敏郎, 義永睦子, 瑞穂優
    2016年8月 その他
    保育・教職実践演習において、新卒保育者に有効な教授内容・方法を開発する必要がある。保育者の離職率の高さの背景の一つと仮定される保育者のリアリティショックを手掛かりに新卒保育者のニーズをつかむことが求められる。そこで、本研究では、「保育者のリアリティ・ショック尺度の開発(1)」(以下、研究1)の連続研究として、研究1で作成したリアリティ・ショック尺度の妥当性の研修をすることを目的とした。分析の結果、本質問紙は、RSを測定する尺度としての妥当性が示された。
  • 義永睦子, 小原敏郎, 瑞穂優
    2016年8月 その他
    保育・教職実践演習において、新卒保育者に有効な教授内容・方法を開発する必要がある。保育者の離職率の高さの背景の一つと仮定される保育者のリアリティショックを手掛かりに新卒保育者のニーズをつかむことが求められる。そこで、本研究では、新卒保育者のリアリティショックを「新卒の保育者が、数年間の専門教育と訓練を受け、卒業後の実社会での実践準備ができたと考えていたにもかかわらず、現場で働き始めたごく初期に、自分の持っている能力や期待・イメージと現場で要求される能力や現場の現実とのズレから生じる衝撃」と定義する。研究1では、保育者のリアリティショックを測定できるアセスメントツールの作成を試み、信頼性と妥当性を検討することを目的として、保育・幼児教育を専攻した4年制大学卒業生を対象に質問紙調査を行った。分析の結果、本質問紙は、RSを測定する尺度として妥当であると考えられた。
  • 2016年7月 その他
    日本において、保育者を志望する学生たちが、大学附設の子育て支援室における実践活動を通して、保育・幼児教育実践力をどのように培っていくのか、アクティブラーニングを通しての成長過程について、実践研究を行った。武蔵野大学子育て園室にて行った、ESD(持続可能な開発のための教育)の親子対象のワークショップを企画、準備、実施、振り返りを行った一連の経過を分析した。結果、ワークショップ開催に至るプロセスが明らかになった。また、その分析からは、学生自身がESDに関する実体験が非常に不足していることが明らかになり、保育者として子どもたちにESDを行うための留意点が明らかになった。
  • 義永睦子, 内藤知美, 別府涼子
    2015年7月 その他
    この実践研究の目的は、日本の子育て支援センターに参加する学生の保育実践力の開発について明らかにすることである。 最初のレポートでは、 彼らが子育て支援センターでのトレーニングを通して、家族支援の具体的かつ効果的なアイデアや、母親と子供達との関係を構築するためのアドバイスなどの能力を開発することを明らかにした。 この 2 番目のレポートでは、子育ての文化の伝達による ESD(Education for Sustainable Development,持続可能な開発のための教育)の 実践に焦点を当てる。保育学生が、大学に附設された子育て支援センターに参加しつつ学ぶ、実践活動(東京都市大学子育て支援センター「ぴっぴ」、もう一つは武蔵野大学養育力エンパワーメントセンター(MURCEP,子育て支援センター))について、 子育て支援におけるESDの実践と保育学生の教職実践力の養成について、研究報告を行った
  • 小原敏郎, 義永睦子, 神蔵幸子
    2013年11月 その他
    幼児教育・保育領域の大学教育において、保育者としての実践力を養成するプロセスで行われる心理劇のうち、4年制大学の1年生を対象に実施した「アクションガイド」を用いた授業を分析し、その教育的効果を考察した。子どもとの直接体験の少ない保育学生にとって、情緒と行為を伴いながら認識的理解が進み、学習課題の成立が促され、保育者としての主体的な学習に繋がる授業方法であることが示唆された。

共同研究・競争的資金等の研究課題

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