中村 伸枝, 谷本 真理子, 坂上 明子, 増島 麻里子, 斉藤 しのぶ, 小澤 治美, 河井 伸子
千葉大学大学院看護学研究科紀要 35(35) 21-24 2013年3月
文部科学省の「キャリアガイダンスを適切に大学の教育活動に位置づける」方針に基づく大学全体の初年次キャリア教育導入を受け,看護学部教務委員会が中心となり,キャリア教育として正課内の科目と正課外の活動を1年次から4年次まで位置づけ体系化するとともに,キャリアポートフォリオを作成した.正課内のキャリア教育として,1年次4月の専門職連携Ⅰ(学部独自プログラム),および,4年次後期の看護学セミナー統合を位置づけた.正課外キャリア教育としては,3年次の学部主催就職ガイダンス,4年次4月に行う卒業後の進路に関する意向調査と個別相談,就職に関する個別相談,および,学生が個別に参加するインターンシップや就職ガイダンスを位置づけた.また,キャリア教育の基盤的ツールとして既存の看護実践能力自己評価ポートフォリオと合体させた「看護実践能力自己評価/キャリアポートフォリオ」を作成した.キャリアポートフォリオの目的・定義は,「学生が,生涯に渡るキャリア形成の基盤として自己を理解し,将来の就職やキャリアデザインを考える力を育成する目的で,入学時から卒業時までの学習プロセスをひとつにまとめたもの」とした.内容や書式は他大学の視察も踏まえ,学部教務委員会と学部・研究科教授会での審議をくりかえし作成した.学生の就職支援を行う学生生活支援委員会と運用の調整を行った後,H24年4月より全学年で導入し,正課内および正課外で活用を開始した.学年進行に沿ってより丁寧なキャリア支援が可能となったが,今後も,学生が実際に活用していけるようガイダンスや支援の工夫,より記載しやすい書式の洗練と,キャリア支援を行う教員へのFDなどを検討していきたい.