浦谷 裕樹, 大須賀 美恵子
バイオフィードバック研究 39(2) 77-84 2012年10月 査読有り筆頭著者
2011年の東日本大震災により心のケアを必要とする人が増えている.子どもたちも例外ではなく,今後多くの子どもたちがPTSDを発症することが予測される.PTSDを予防するための方法の一つとして,心身を落ち着ける技法を身につけることが挙げられる.その際にバイオフィードバック装置を用いると効果的に学習できるといわれている.そこで,子どもたちが自然と心身を落ち着けるための呼吸法を学べるように,幼児・小学生を対象としたバイオフィードバック機能付きのぬいぐるみを開発することを考えた.その開発の予備的検討として,パソコン画面上で動くクマのキャラクタを利用して5〜11歳の健常児12名(男児5名,女児7名)を対象に呼吸誘導に関する評価実験を行った.その結果,最もリラックスする呼吸周期は個人によって異なることから,その子に合った呼吸周期から呼吸誘導するのが望ましいという示唆が得られた.また,脈波の生データに乱れがない場合は,脈波から呼吸周期をほぼ正確に測定できることが示された.さらに,リラックス度を判定する生理指標としては,脈波から得られるものの中では平均脈拍と脈波振幅が適していることが示唆された.