西浦 幸起子, 神田 知子, 渡邊 英美, 小切間 美保, 高橋 孝子, 桑原 晶子, 赤尾 正, 宇田 淳, 市川 陽子
栄養学雑誌 82(2) 65-78 2024年4月 査読有り
【目的】介護老人保健施設(以下,老健)では,利用者の摂食嚥下機能にあわせて形態を加工した食事,すなわち嚥下調整食の提供が不可欠である。嚥下調整食の食形態の指標である,日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021(以下,学会分類)では,食形態を5段階に分類している。本研究は,老健で提供されている食形態別の種類数(以下,食形態数)と労働生産性についての実態を把握することを目的とした。【方法】2020年に全国の老健4,133施設に調査票を配付し,回答を得られた956施設を分析対象とした。食形態数と労働生産性(食/人/回)との関連をKruskal-Wallis検定を用いて比較した。【結果】労働生産性は,生産食数が多い施設で有意に高かった(p<0.001)。老健で提供されている食形態数の中央値は,主食は5(最小1~最大28)種類,副食(主菜・副菜)は5(最小1~最大26)種類であり,学会分類の5段階と同様であった。主食,副食(主菜・副菜)の食形態数と労働生産性との間に,有意な関連はなかった(主食:p=0.52,副食(主菜・副菜):p=0.90)。食形態数に関係なく、約80%の施設が,「カット野菜,調理済み食品,既製品の導入」を実施していた。【結論】労働生産性は生産食数が多い方が高く,生産規模が関連していると考えられた。食形態数が学会分類の5段階を超えて6種類以上提供している施設があっても,労働生産性は食形態数が少ない施設と違いはなかった。食形態数が多い施設は,献立や使用する食材料を工夫することによって,労働生産性が低下しないようにマネジメントしていると考えられた。(著者抄録)