神田 知子, 西浦 幸起子, 小切間 美保, 桑原 晶子, 高橋 孝子, 赤尾 正, 宇田 淳, 市川 陽子
栄養学雑誌 81(3) 138-152 2023年6月 査読有り
【目的】病院給食において,調理作業の合理化・効率化のために実施している料理の種類数の削減方法についての実態を把握することを目的とする。【方法】全国8,297の病院を対象とし,質問紙調査を行った。献立,主食,主菜,副菜,汁物それぞれに関する料理の種類数の見直し・削減方法の具体例を調査し,質的内容分析を行った。【結果】回答のあった2,011施設のうち有効回答が得られたのは2,007施設(24.2%)であった。そのうち,料理の種類数の削減を「過去5年以内に,見直し・削減したことがある」,「見直し・削減する予定である」と回答した1,069施設を分析対象とした。料理の種類数の見直し・削減例について選択肢の回答の上位に挙げられた項目は,献立では「献立作成の工夫」,「栄養基準の簡素化」,主食では「盛付け量での調整」,主菜と副菜では「完全調理品,半調理品の使用」,「調理手順の効率化」,汁物では「塩分制限の厳しい者には提供しない」であった。これらの料理の種類数の見直し・削減の具体例を,病院の給食管理業務における約束食事箋の作成から配膳までの工程にあてはめた結果,『食種を減らす工夫』,『献立作成段階の工夫』,『調理作業工程の集約・簡素化』に整理することができた。【結論】調理作業の合理化・効率化を図るためには,栄養基準を簡素化すること,加工された食材を活用すること,献立作成段階で同一のメニューや食材を多くの食種に対応させる工夫が重要であると考えられた。(著者抄録)