桐朋学報 (第50号) 2000年12月
・「分数のわり算」の単元は、現在多くの教科書の例題で「かべとペンキの問題」を採用している。しかし、これは不適当であり、「ひもの問題のほうが適当である、という主張が本研究の主題である。<br />
・文献研究と調査研究、それに基づく指導方法の研究を行った。・文献研究では、日本の教科書の歴史的分析とアメリカの現行教科書の分析を行った。その結果、日本の教科書はある時期まで「ひもの問題」であったこと、アメリカの現行教科書は「ひもの問題」であることが明らかになった。<br />
・調査研究は3回行われ、1回目が成人、2回目が小学校6年生、3回目が中学1年生である。3回の調査で共通して明らかになったことは、分数のわり算として認識しやすい問題は、かべ問題よりもひも問題であることが明らかになった。<br />
・これらの研究から、主題の通り、例題を「ひもの問題」を採用し、演算構造の理解と分けた方が児童にとってわかりやすいという結論を導き出した。