これまでの伝統的な日本人論と David Matsumoto らの豊富なデータに基づく最近の研究の比較を行った上で、特に日本の若者が、今までの固定化されたイメージではとらえきれない価値観を持っていることを指摘した。また、日本人にとっての英語学習の意味を問いかけ、それはまさに「情」の世界から「理」の世界への脱却を試みる志向に他ならないことを論じた。
本稿では、英字新聞の見出しの読み方、そしてその語法的特徴を執筆した。The Japan Timesを例に、「通例、動詞は現在形で過去や現在完了のことを表わし、冠詞なども省かれる」「未来のことは、不定詞(to+動詞の原形)で表わす」「受動態のbe動詞は省略される」ことを解説。また、見出しに特有の語彙の特徴にも触れている。
時事問題の「日の丸と君が代」に関連して、国旗としての「日の丸」は the national flag of Japan であり、国歌としての 「君が代」は the Japanese national anthem と訳せるが、英米人にとっての太陽は、redというよりはyellowであることから、英語で「日の丸」を説明するには、the red disk represent-ing a sun や The image of a red sun was adopted as the Japanese national flag.としたほうが誤解を招かないことを解説。また、時事英語に頻出する略語をどのようにして生徒に教えるか、具体例を挙げて紹介した。
名著の誉れ高いDavid CrystalのEnglish as a Global Languageの日本語版(國弘正雄訳、1999年、みすず書房)を、英語が今や世界中の人々の共通語として使われている現状との関連から分析した。本書の大きな特徴として、クリスタル自らが英語とウェールズ語を共用する2言語話者であり、多言語主義の基本的価値を信じる言語学者が「世界資源」としての共通言語の価値を説いているところに、本書のすぐれたバランス感覚を見いだすことができるとした。
生徒のmotivationを喚起させるためのヒントとなるような、時事英語の面白さを伝えることを主眼に、生徒にとって身近なトピックをもとに授業で実践できる具体例を紹介。まず、Bill Clinton とTiger Woodを例に、日本語と英語の発音の違いを強調して教えることを提案し、さらに、アメリカのテキサス州で、helloという言葉がhell「地獄」を含んでいるのでheaven-oに代えようとした実例から、日本語と英語の忌み言葉の概念を解説した。