ぎょうせい『世界の民話24 エスキモー・北米インディアン・コルディリェーラ・インディアン』(1978年)に所収の「トカルマス・スレウィス」を子どもに語ることを念頭に再話することを試みた。
その過程で、Jeremiah Curtin編Myths of the Modocsに収められているWest Wind’s Wivesが「トカルマス・スレウィス」に酷似していることが確認できた。そこで、各話を再話、翻訳するとともに、比較検討をおこなうことで、編者、再話者、翻訳者による焦点の違い、子どもに語ることを念頭におくことによる制約といった子どもむけの翻訳、昔話の再話における諸課題について考える。
1998年に関西で発足した英語圏児童文学研究会(Circle of Children's Literature in English, CCLE)は現代作家の代表作や新作を中心に、英語圏の児童文学を輪読する活動をおこない、現在まで110冊以上の本を読了してきた。初期の活動は『英語圏の新しい児童文学―クローディアからハリー・ポッターまで―』(彩流社、2003年)にまとめられているが、2010年以降の活動について、今後随時テーマを決めて発表を行っていく。
今回は、『若草物語』を下敷きにしたLauren Baratz-LogstedのLittle Women and Me (2011)、および昔話の「ルンペルシュティルツヒェン」「シンデレラ」をモチーフに取り入れたNaomi NovikのSpinning Silver (2018)を取り上げ、若い読者に届くように古典的な物語をアップデートしていく手法について考える。
神村はLittle Women and Meに関する発表の骨子を提案し、作品分析、批評、発表用資料、スライド作成を担当した。