坂本 薫, 丸山 悦子
澱粉科学 37(1) 29-34 1990年
1.精白米よりα-アミラーゼを硫安分画,アセトン分画,各種クロマトグラフィーにより分離精製を行い,a-アミラーゼIおよびIIを得た.比活性はα-アミラーゼIは約1000倍,α-アミラーゼIIは約700倍に上昇し,いずれもクロマトグラフィー的,電気泳動的にほぼ単一であった. 2.分子量はそれぞれ約46,000,約61,000と推算された.酵素反応生成物としてG1からG8までのオリゴ糖が検出されたことや,精製酵素を澱粉糊液に反応させた際の澱粉分解率とヨウ素呈色度との関係などから,両酵素は液化型α-アミラーゼであると考えられる. 3.酵素化学的性質を検討した結果,α-アミラーゼIは,至適pH5.0~5.5で熱に不安定,可溶性澱粉に対するKm値3.5mg/mlであり,α-アミラーゼIIは,至適pH5.0~6.0,熱にはきわめて安定で,可溶性澱粉に対するKm値は2.3mg/mlであった. 4.α-アミラーゼIIは,80℃10分間の加熱に対しても安定であり,炊飯における本酵素の役割が示唆された.おわりに,本研究にあたり貴重なご助言,ご指導を賜りました江崎グリコ(株) 生物化学研究所長,岡田茂孝博士に心から感謝いたします. 本研究の一部は,日本家政学会関西支部第7回研究発表会および昭和61年日本調理科学会において口頭発表した.