坂本 薫, 坂本 朋香, 内田 はるか, 森井 沙衣子
日本調理科学会大会研究発表要旨集 35 68 2024年
【目的】胚芽米は、精白米のおいしさと玄米の栄養的価値の両立を目指したものであると考える。胚芽精米はその栄養的価値が担保された米として胚芽を80%以上含むものが流通しているが、その消費量が米の消費量全体に占める割合は決して多くはない。そこで、胚芽米の利用拡大を目指し、これまでの胚芽精米とは異なる食べやすい胚芽米の米飯特性について検討を行った。
【方法】胚芽保有率の異なる2種類の胚芽米および精白米の搗精は、兵庫県産コシヒカリを用いて㈱トウバンにおいて行った。これらについて、吸水率、色差、テクスチャー、還元糖量、GABA量の測定および官能評価を行い、胚芽米の評価を行った。
【結果・考察】2種の胚芽米の胚芽保有率はそれぞれ52.8%、43.5%であった。これらを胚芽米A、胚芽米Bとして実験に供した。5℃と40℃での吸水率を測定すると、いずれの温度においても胚芽米のほうが吸水率が高かった。また、5℃のほうが40℃よりも吸水率が高い結果となった。胚芽米のほうが吸水率が高い結果となったのは、搗精方法の違いに起因していると考えられた。胚芽米A、Bの色差ΔEは1.41と目視で違いが認められる程度であることがわかり、L*値、a*値に有意差があった。テクスチャー測定では、精白米との比較においても硬さには差は認められなかった。還元糖量測定では、長時間浸漬により胚芽米は甘みが増すことが示唆された。GABA含有量は、胚芽米飯は玄米飯より少ないが精白米飯より多く、炊き方によってその量は変化した。官能評価では、胚芽米2種間において白さ、つや、香り、総合評価に有意な差が認められ、胚芽保有率の差が9.3%程度であっても評価が大きく左右されることがわかった。