片山, 直也, 北居, 功, 武川, 幸嗣, 北澤, 安紀, 古谷英恵 (Role: Contributor, 「表明保証条項違反に基づく補償合意に対する錯誤の適用可能性について」(393-425頁))
慶應義塾大学出版会, Feb, 2020 (ISBN: 9784766426571)
【本稿の目的】アメリカ法に由来する表明保証条項に基づく補償合意につき、日本法上の位置付けを明らかにしたうえで、当該合意に対して錯誤の適用が可能であるか否かを検討する。
【研究内容】①問題の所在、②契約実務における表明保証条項とその違反に基づく補償に関する合意、③アメリカ法における表明保証条項違反に基づく補償の法的構成、④日本法における法的性質論、⑤考察―表明保証条項違反に基づく補償合意と錯誤の関係性、⑤結語
【研究成果】①アメリカ法上、表明保証条項は契約の締結に当たって何が真実であるのか、その対象を合意により特定するために規定するのに対して、補償条項は表明保証条項違反の効果として金銭賠償を定め、その範囲を合意により特定するために規定されている。②日本法上、表明保証条項は損害担保契約と構成され、表明保証条項違反に基づく補償合意はその履行責任を規定するものと構成されることが、日本の契約実務に適う。③裁判例においては、動機錯誤の追加的要件に関する見解の不統一とも相まって、表明保証条項違反と錯誤の関係の理論構成は統一されていない。④表明保証条項違反に基づく補償合意は、動機錯誤の取り扱いに関する合意と位置付け、表明保証事項が真実でなかったばあい、そもそも動機錯誤に当たらないと解することが、契約実務に沿う。